知的財産管理技能検定は知財部や弁理士事務所で勤務するための資格だから、それ以外の部門では取得不要!
このように感じている方も多いのではないでしょうか。勿論、メインで役立つのは、知財部や弁理士事務所ですが、個人的には法務部門でも十分に役立つ資格であると思ったので、実際に役立ったことを説明したいと思います。
体系的な知的財産法の理解に役立つ!
結論として、知的財産法を体系的に理解するには非常に効率的です。
勿論、一般書籍でも知的財産法についてまとめられているものもありますが、網羅的に記載されているものが意外と多くはなく、網羅するとなると分厚いものばかりです。また、実務的な関心どころ(特許検索、IPランドスケープ、知的財産権の譲渡)が抜けていることもあります。
この点、知的財産管理技能検定は一応網羅的に記載されており、何か疑問に思ったときにどこの論点が影響しているか思い出すことができます。
知的財産関連の契約書に役立つ!
秘密保持契約書、取引基本契約書、業務委託契約書、共同開発契約書、ライセンス契約書等には知的財産法について記載されています。
勿論、最終的には専門書等で確認しつつ、作成・検討すべきではありますが、体系的な知的財産法の理解があることで、ちょっとした気づきができるようになります。
コーポレートガバナンス・コード対応に役立つ!
コーポレートガバナンス・コードとは上場会社の企業統治(コーポレートガバナンス)について定めた原則・指針というものですが、上場会社は、これをコーポレートガバナンス報告書等で開示することを求められています。
この点、2021年6月に改訂されて、知的財産に関する投資をどのように行っていくか方針を策定し、開示を求められるようになりました。
基本的には知的財産部門や経営企画部門で検討することになるかと思いますが、コーポレートガバナンス・コードの全体管理を法務部門が行うこともあり、少なからず知的財産にまつわる法律を把握しておく必要があります。
そのため、こういった際の開示資料を作成するうえで役立ちます。
補充原則4-2②
取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。
また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。
コーポレートガバナンスコード 補充4-2②
補充原則3-1③
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。
コーポレートガバナンスコード 補充3-1③
商標調査等に役立つ!?
新しく会社設立する場合に、商号を決めるとき、念のため商標も確認しておくことがありますし、何らかの商標をチェックすべきかという気づきにも役立ちます。
ただし、当検定ではあくまで気づきレベルであり、具体的な調べ方までは網羅されていません。
最後に
上記に示した通りではありますが、知的財産管理技能検定は体系的な知識整理に最適であり、それは知的財産法に関する気づきにつながり、法的な検討において、不備や漏れを防止することにつながります。
この点を鑑みると、がっつり取り組む知的財産部門よりも法務部門の方が役立っているかもしれません。
ご参考になれば幸いです。
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また、私は法務ですが、正面から知財法面でのご活躍を検討されているのであれば、以下のサイトをお勧めします。
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