働いていて、何か副業を始めたい。法律系士業の資格があるけど、週末開業してみようか。
という方に対して、サラリーマンである私が7年間続けてみて思うことをお示ししたいと思います。
なお、私は、司法書士を3年間自宅登録、4年間同期事務所に登録しており、司法書士と行政書士を保有しています。
なので、今回の法律系士業としては、司法書士や行政書士を想定していただきたいと思います。
結論:基本的には副業としてやるにはおすすめできない
私としては、基本的には副業としてやるにはおすすめできません。
おすすめできない理由
- 官公庁がかかわる仕事が多く、本業の就業時間と被ってしまう可能性がある
- 士業は、高い倫理観・責任を求められることが多い
- 開業しただけで仕事が舞い込んでくることはない
- 所属組織の会の仕事がある
- 意外と高い登録料
官公庁がかかわる仕事が多く、本業の就業時間と被ってしまう可能性がある
これはそのままの意味です。官公庁に対してオンライン申請や郵送申請などもできますが、タイムラグが発生してしまうし、場合によっては官公庁に行かなければならないこともあります。平日時間を作れない人にとっては向いていません。
士業は、高い倫理観・責任を求められることが多い
士業はたいてい行政書士法や司法書士法等の法令が定められており、各士業組織で倫理規定もあります。他業種ではOKな行為でも士業であればNGな行為もあるので注意が必要です。法令や倫理をしっかりと理解しようとしない方には向いていません。
開業しただけで仕事が舞い込んでくることはない
開業したからと言って仕事が来ることはありません。開業すると、司法書士会や行政書士会のウェブサイトに住所氏名連絡先が公表されますが、ここから仕事が来たことは一度もありません。ここからくるのは士業向けの営業電話ばかりです。しっかりと営業活動をしていけない方には向いていません。
所属組織の会の仕事がある
所属会によって、会の仕事があります。東京にいたころは数年に一度無料相談会への参加を要請されていましたが、地方に移住してからは、委員会への参加を求められ、無料相談会も年に2~3回参加を求められます。所属組織によって会務の多さは違いますが、平日休日問わず要請を受けるので、自分の仕事に専念したいという方には向いていません。
意外と高い登録料
司法書士は会費が毎月2~3万円発生しますし、行政書士も会費がとられます。会費は各都道府県で異なりますので、把握し、それ以上は稼げるか考えましょう。
士業を副業でやっていくためには
- 交友関係を増やすべき
- 目的を明確にすべき
- 自分にしかないスキルを持つべき
交友関係を増やすべき
まずは、交友関係を増やすべきです。交友関係には見込みのお客さんになりそうな方を増やすためでもありますが、仕事の相談に乗ってくれそうな方を増やすためでもあります。
士業の仕事はたとえ書類作成だけであっても、意外と落とし穴があります。それに気づかず自分のもっている知識だけでやると失敗しますし、最悪の場合、損害賠償を求められたり、所属会から懲戒処分を受けてしまう可能性もあります。
なので、まずは士業の仕事を相談でき、助けてくれる仲間がいた方が安全です。
また、お客様という意味でもインターネットで依頼のあったお客様よりも友人の知り合いからの依頼の方が融通を聞かせてくれることが多く、やりやすいです。
様々な面で交友関係があった方が強いです。
目的を明確にすべき
士業を副業・兼業していくうえで最終的にどうなりたいのか明確に目的を定めた方が良いです。例えば、定年退職後独立を見据えて兼業しておくとか、士業としての〇〇のスキルを身に着けたいとかです。
何も目的をもたないと、ただ責任も重くしんどいだけです。
自分にしかないスキルを持つべき
自分にしかないスキルを持っていると、どこかで評価されるときがあります。私は自分にしかないスキルは特にないので、苦労しておりますが、同じように兼業されている方の中には、書籍の出版の話があったり、セミナー講師の仕事があったりします。士業として実業に力を入れるよりも稼ぎやすくなります。うらやましい限りです。
私の実体験
私は冒頭で申し上げたとおり司法書士最初の3年間は自宅登録し、現在は同期事務所に登録しています。
最初の3年間は、兼業として司法書士をしていましたが、もともと登録だけしており、兼業の気はありませんでした。
なんだかんだ言って、同期から仕事を振ってもらったり、所属会から仕事がきたりしました。その多くは相続関係が多かったです。しかし、営業もしていないので、稼げても年間1~2件程度なので、数万円程度です。土日祝日や本業の営業時間外、有給休暇を使って仕事をしており、相続などで依頼者と面会するのは問題ありませんでしたが、平日100%の力で動けず、かつ法務局をはじめ官公庁は平日しかやっていないのでそのあたりのめんどうくささがありました。
4年目から独立した同期の司法書士事務所に籍を移動しました。ありがたいことに同期から仕事をいただけたこともあり、ある程度はまとまって収入がありました。引き続き相続関係もありましたが、同期からの仕事も増えて、商業登記、不動産決済、補助金申請補佐など幅広くなりました。また、ちょくちょく遠い知り合いから相続登記の依頼を受けることがあります。個人一人でやっていくよりも仲間がいた方が非常に仕事がやりやすいと感じております。
士業を副業・兼業して良かった点
私自身、正直なところ、そこまで積極的な営業活動を行っていないので、会費をペイできるかできないか程度のレベルです。
しかし、本業で弁護士や司法書士に仕事を依頼することもあるし、法務業務も行っている身ではありますので、士業の考え方を自ら体験できるというのは本業への経験値にもつながります。
また、小規模ながら、独立して仕事ができる楽しさもあります。
士業を副業にするのに向いている人
人当たりの良い人、交友関係の多い人、てきぱきと仕事ができる人
さいごに
士業は副業としておすすめなのかと多くの方に対して、おおむね上記のような回答を繰り返していますが、自分自身はなんだかんだ楽しくやっていると思います。
楽しくできているのは、業務自体の魅力もそうですし、士業仲間のつきあいも嫌いでないからだと思います。
お金を稼ぐ副業としてはおすすめしませんが、興味があればチャレンジするのも良いかと思います。
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