司法書士試験は過去問が大事と聞くが、過去問の種類が多すぎてどれをやれば良いかわからない。どれをやるべきか?
司法書士試験は教材が非常に充実しています。かなり古い過去問から現在まで掲載しているもの、各予備校で厳選されたもの、年度別でまとめられているもの、分野別でまとめられているもの様々です。更に、各予備校がそれを少し違った角度から作成しているものだから非常に種類が膨大になっています。
過去問に種類がなければ悩まずに済むのにいろいろなものがあると、嬉しいのやら悲しいのやらよくわかりません。
受験生としては、自分にあったものを選べる点で良いのかもしれませんが、正直なところ、選択肢が多すぎてわけが選ぶのが面倒になってしまう方もいるのではないでしょうか。
私なりに過去問の種類、使い方、選び方をまとめてみましたので、参考にしていただけると幸いです。
過去問の種類
現在、売られている過去問の種類は大きく分けて次の3軸から考えられます。
- 1.分野別過去問or年度別過去問
- 2.昭和平成から現在までの過去問or予備校講師による厳選過去問
- 3.問題形式と肢別
1.分野別と年度別
(1)分野別
各法令の分野ごとにまとめられた過去問集です。
分野ごとにまとめられているので、テキスト等でインプットした後にその分野の出題範囲の過去問をやる際に使いやすいので、普段の学習に最適です。一方で、実際に本試験と同様に解く感覚、いわゆる試験慣れにはならないので、別で対策する必要があります。
(2)年度別
過去の本試験問題が年度ごとそのまま掲載された過去問集です。
年度ごとにまとめられているので、それを一気に解くことで試験に慣れてきます。また、本試験は各法令・各分野がまんべんなく記載されているので、各法令ごとに区切って解けば、各法令の総復習にも使えます。一方で、年度別だと、出題範囲すべてが網羅されていないので、普段の学習には向いていません。
(3)まとめ
普段の学習をするうえで分野別は合格するためには必須です。テキストを読んで該当箇所の過去問を解くことで記憶していきます。年度別だと、すべて本試験で出題される論点すべてを網羅しているわけではないので、普段の学習には向いていません。しかし、各法令のインプット講義が終わって、すぐに年度別過去問の該当法令を解けば、網羅的な演習ができますし、年度ごとに一気に解けば、本試験の問題に慣れていけます。勿論、資格学校によっては、年度別過去問を解かず、模試で良いという方もいますが、模試はあくまで本試験を真似て作ったものなので、実際の本試験を体験するには年度別過去問を年度ごとに解く他ないと思います。私としては、両方購入されることをお勧めします。
2.昭和平成から現在までの過去問or予備校講師による厳選過去問
(1)昭和平成から現在までの過去問
昭和平成から現在までの過去問はとにかく分量が多いです。合格者は基本的にはすべての過去問を完璧に仕上げてくるので、ここに記載されていることを十分に理解することで合格に近づきます。しかし、分量が多いので、初学者や働きながら合格を目指す受験生にとって、十分にこなせないという方もいるかと思います。受験生の中でも多数派です。
(2)厳選過去問
厳選とは資格学校若しくは予備校講師が過去問を厳選してまとめたものです。受験生がこなしやすいように資格学校等がまとめたものなので、こなしやすい作りになっています。そのため、基礎固めには最適です。しかし、本試験の問題作成者が厳選しているわけではなく、資格学校等がまとめているものなので、あたり外れが大きいです。あまり使っている方を見たことがないです。
(3)まとめ
基本的には、昭和平成から現在までの過去問を使うべきです。合格する受験生はすべての過去問知識を完璧にしてきます。そうした中で厳選過去問だけでは知識面で不十分だし、物足りないのではないかと思います。厳選過去問を購入しても、合格するうえで昭和平成から現在までの過去問を完璧にする必要があるので、再度過去問を購入する必要が出てきてしまいます。そうであれば最初から昭和平成から現在までの過去問を購入すべきです。
昭和平成から現在までの過去問については、すべての年代の過去問をこなせないという方であれば、〇年前までの過去問に絞って取り組めば良いのかと思います。それでも敢えて厳選をおすすめするとすれば、初学者にとっては使いやすい点ではないかと思います。
なお、昭和平成から現在までの過去問のうち昭和の過去問はやるべきか悩む方もいるかと思います。初学者であればそこまで手を回さなくて良いかと思いますが、最終的にはしっかりと解くべきであると思います。理由としては、合格者の中でも昭和の過去問をやる方は意外と多くいるからです。
3.問題形式と肢別
(1)問題形式
問題形式は、過去問1題1題をそのまま掲載しているものです。他資格でも多く使われているオーソドックスな過去問です。肢別と比べると、司法書士試験は主に5肢から正解肢を組み合わせで回答します。その5肢の中には判断すべきではない肢が含まれているので、問題形式ならば、それを如何に避けるかという練習(組合せの練習)にもなります。しかし、過去の試験では判断すべきでない肢であっても、過去問になってしまえばだれもが知っているべき問題になり、その肢が判断すべき肢になってしまいます。問題形式の過去問ばかりやっていると、判断すべきではない肢を飛ばす癖がつきやすいので、注意が必要です。
(2)肢別
肢別は、例えば問題が5つの選択肢の組合せならば、選択肢ごとに分解して掲載しているものです。1つ1つの選択肢を丁寧に確認することができるので、知識補充に最適です。また、問題形式は分野ごと順番にまとめていますが、肢別の方が更に細かく整理されていますので、テキストの順番と肢別の順番が非常にリンクしやすく効率的にインプットできます。
(3)まとめ
問題形式と肢別は正直なところどちらでも良いと思います。問題形式を使う場合は肢別でもしっかりと抑える癖をつける必要があるし、肢別は年度別過去問等を使って組合せの解き方を練習する必要があります。
市販の過去問の種類
市販の過去問は次のとおりとなります。勿論、これら以外にも売られているし、資格学校ではオリジナルのものもあります。
①年度別
※解説なしで良ければ、法務省の司法書士試験案内から無料でダウンロードできます。
②分野別、問題形式、現在まで
※Wセミナー、LEC、それ以外のどれでも良いと思います。私は最初LECを使っていて、その後Wセミナーに変えましたが、それは当時のLECの過去問は表紙にカバーがなかったため過去問を持ち運ぶとぼろぼろになってしまったからです。しかし、数年前からLECの過去問もカバーがついているものを販売していますので、どちらでも良いと思います。なお、それ以外の過去問も購入したことがありますが、それはフォントサイズや字体が自分に合っておらず、目が疲れてしまったので一度も使用しませんでした。
③分野別、肢別、現在まで
④分野別、問題形式、厳選
⑤分野別、肢別、厳選
過去問の選び方
1資格学校で総合講座を受講している方
基本的にその学校の講師の指示に従って選ぶことをお勧めします。私を含め、インターネット上や同じ資格仲間等はいろいろな意見を言ってきますが、それは雑念でしかありません。余計なことを考えるよりも講師の指示に忠実にカリキュラム通り進めた方が余計なことで悩むよりも合格しやすいです。
2上記以外の方
(1)昭和平成から現在までの分野別過去問
まずは、昭和平成から現在までの分野別過去問を使うことをお勧めします。理由としては、これが一番オーソドックスな形だからです。大半の受験生がやっていることを完璧にこなすことで合格に近づきますので、一旦は一般的なやり方をお勧めします。
そして、問題形式か肢別かは実際に使ってみて合っている方を使ってみて判断すべきです。正直なところ相性があるので、どちらでも良いと思います。
なお、私は、最終的に、不動産登記法と商業登記法は肢別、それ以外は問題形式を使っていました。理由としては、不動産登記法と商業登記法は知識勝負なところもあり、正確に一肢一肢判断することが求められるところ、肢別の方が良いと判断しました。一方で、民法や憲法等午前を中心に組合せが重視される問題は寧ろ肢別が使いにくいと感じてしまうこともありました。しかし、これは本当に人それぞれなので、どちらが正解というものではないと思います。
(2)(1)を使ってみて分量が多いと思ったら
(1)を使ってみて分量が多いと思ったら、一旦、分野別過去問のうち10年分や15年分に絞って解くか厳選過去問を使うことをお勧めします。勿論、最終的にはほとんどの過去問を完璧にする必要がありますが、一気に取り組むとこなすだけでもへとへとになります。まずは絞った範囲を完璧にし、徐々にできることを増やしていった方が効率的です。分野別過去問を絞るか、厳選過去問を使うかは好みによると思います。
(3)年度別過去問について
年度別過去問は各法令ごとの復習や本試験の練習として購入されるか、法務省の司法書士試験情報からダウンロードされた方が良いと思います。最初は年度別過去問を解くハードルが高く感じると思いますが、それを乗り越えて何度も解けば、本試験慣れにつながり、ぐんっと合格に近づきます。確かに、知っている年度別過去問を解いても答えが知っているので意味がないとも言えますが、それでも解いていくうちに気づくことが多くあります。
最後に
司法書士試験において過去問は非常に重要です。使ってみて自分に合わなければ、すぐに別のものを1冊購入してみるのも一つの手です。使いにくさに悩むよりも数千円払って別の過去問を探した方が個人的にはコスパが良いように思います。
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