どうもこんにちは!
司法書士試験の鬼門の一つである記述式問題。
これはどのような試験なのか特徴と自分なりの対策をまとめました。
なお、私は、当然、司法書士試験に合格しております。
ご参考ください。
1.記述式問題とはどういうもの?
記述式問題は、司法書士筆記試験の午後の部として、午後の択一式問題を含め、合計3時間の時間を要しています。
問題構成は、不動産登記法1問、商業登記法1問であり、例年、実際に申請書の一部を記載することを中心に登記に関する法令知識を問う内容が出題されています。
配点は、不動産登記法70点、商業登記法70点の合計140点(※)です。
※2024年の試験から配点が変更になります。2023年までは不動産登記法35点、商業登記法35点、合計70点でした。以下の記事は2023年までの点数に基づき記載されています。
2.記述式問題の特徴
記述式問題の特徴として、次のことがあげられます。
(1)合格者でも分量が多く、時間配分を考えて解かなければ間に合わない。
(2)高得点を取るのが択一式問題と比べて難しい。
(3)記述式問題の基準点は、概ね記述式問題採点者の平均点である。
(4)たまに大幅な形式変更する等、受験生を揺さぶってくる問題が出される。
(1)合格者でも分量が多く、時間配分を考えて解かなければ間に合わない。
記述式問題が出題される午後の部は、圧倒的に時間が足りないです。午前の部は択一式問題35問を2時間で解き、時間があまる受験生も多いのですが、午後の部は択一式問題35問と記述式問題2問を3時間で解かなければならず、圧倒的に時間がたりません。
(2)高得点を取るのが択一式問題と比べて難しい。
択一式問題は、毎年満点を取る方がいるのに対して、記述式問題は、満点を取るのは不可能に近いと思います。少なくともここ5年は満点をとった受験生はおらず、70点満点中、62点から65点が最高点になっています。
また、記述式問題の配点は、公表されておらず、どこにどのくらいの配点があり、どうすれば何点取れるという明確な基準が受験生に知らされていることがありません。場合によっては、運よく高得点を狙える可能性もありますが、現実的にはあまりそのようなことを聞いたことはありません。
(3)記述式問題の基準点は、概ね記述式問題採点者の平均点である。
5年分のデータをまとめると、概ね記述式問題採点者の平均点よりも0.06点から1.17点高い点数が基準点になっています。記述式問題を採点されるレベルの中で少なくとも上位50%以上に入る必要があると言えます。
(4)たまに大幅な形式変更する等、受験生を揺さぶってくる問題が出される。
例えば、今まで問題文を読むだけで判断させていたのが、急に実際の資料を読み取って判断させるような内容に変わったり、今まで正式名称(例.登記原因証明情報や委任状)で回答していたものを選択肢の中から記号を選ぶような内容に変わったりする等、形式を変えて受験生を揺さぶってきます。
平成21年度の司法書士試験の不動産登記法記述試験では、今まで登場してこなかった別紙形式といって実際の資料を読み取らせて判断する問題が登場しました。当時はかなり奇を衒っていて、不動産登記法で0点であっても合格できてしまうという異常事態が発生しました。
少しの事でも動揺せず、わかるところを着実に回答できるような対策が必要です。
3.記述式問題の対策
記述式問題の対策として主に以下の4点を意識することをお勧めします。
(1)午後の部全体の時間配分を意識した準備をしておく。
(2)答案構成の手順を固めておく。
(3)ひな型は考えなくても素早く書けるようにしておく。
(4)記述式過去問を解く
(1)午後の部全体の時間配分を意識した準備をしておく。
実際に受験した方ならわかると思いますが、午後の部は、択一式問題もやらなければならないし、記述式問題もやらなければならない中で圧倒的に時間が足りません。さらに、午後の択一式問題でも記述式問題でもそれぞれ最低基準点を突破しなければなりません。ですから、問題を効率的に解く順番や時間のかけ方をあらかじめ事前に準備しておく必要があります。
参考までに、私は受験生時代に解く順番は人それぞれで良いのですが、個人的には上記のとおりに対応していました。
最初に、商業登記記述式問題に取り掛かります。その理由としては、午後の部で一番問題のぶれが少なくある程度の点数を狙いやすいからです。商業登記記述式問題は、主に登記できるかできないか判断を要する問題があるものの、最悪それを判断できなくても、登記できないものが登記できるものよりも多くなることはほとんどないと思われますので、最悪すべて登記できるものとして書くだけでもある程度の点数になるし、登記できるかできないか判断できなくても、作問者の意図を想像すれば(俗な言い方をすれば問題の空気を読めば)回答できてしまうからです。
なお、判断に悩むものがあれば、そこで立ち止まらず、択一式問題を解くことに切り替えます。
択一式問題では、商業登記法から解きます。理由としては、記述式問題で商業登記法を解いていたので、比較的解きやすいからです。一方、民事訴訟法は毎年難易度が高く、なかなか点数がとれないので、民事訴訟法から解くと気持ちが萎えるので避けていました。最後に、不動産登記法を解く理由としては、その後、不動産登記法の記述式問題を解くことになるので、気持ちを不動産登記法に集中させる意味でも良いかと思っていました。
不動産登記法記述式問題は、いつも最後に解いていました。理由としては、登記の申請順を間違えてしまえば大幅な減点が避けられないし、悩ましい問題が多くあることから、択一式問題や商業登記記述に気を取られることなく、落ち着いて判断するためにも最後に取り組んでいました。
あくまで上記は私なりの考えであり、それぞれ自分なりの考えがあると思います。
この点、模試等を通していろいろと試していき、自分なりの解く順番を決めておくことをお勧めします。
(2)答案構成の手順を固めておく。
先にも申し上げた通り午後の部では圧倒的に時間が足りません。事前に準備すべきことはすべて用意しておいて、本試験では、その解き方を即座に思い出せるように答案構成の手順を前もって決めておき、悩む時間を極力減らして回答していく必要があります。例えば、不動産登記法であれば、最初に名変がないか確認したり、根抵当権については元本確定事由があるか確認したりします。
この点、できれば資格学校で解き方を教えている講座を取ることをお勧めしますが、それが難しいのであれば、次の記述式問題集や過去問集を通して、自分なりの答案構成の型を作っておくことをお勧めします。
なお、以下の書籍は、伊藤塾の記述式問題の人気講座を書籍化したものであり、非常に参考になります。
(3)ひな型は考えなくても素早く書けるようにしておく。
受験生の中には各時間がもったいないので、答えは書かないという方もいるかと思います。勿論、その考えは間違っていないのですが、ある程度、実際に書く練習をしておかなければ、足元をすくわれてしまいます。
毎年、記述ができたという方でも以外と点数が入らなかったという方が多くいます。その理由の一つに誤字脱字等で正確に記載していなかったために減点されている方も多くいるのではないかと思います。特に、商業登記法において、目的や株式の種類を新たに設けた場合、それを一言一句正確に記載しなければ減点になります。
また、答えを記載せず、頭の中で思い浮かべるだけだと、実際に書く際にあやふやで正しく記載できない場合もあります。
その他、(1)の時間配分にも通じるのですが、実際に書くだけで何分かかるか把握しておく必要もあります。答案構成であまりにも時間がかかり過ぎている場合、答案構成を止めてでも回答できる箇所は事前に記載しなければならないこともあるかもしれません。そのあたりのタイムマネージメントをしていくうえでも、実際に回答用紙に答えを記載するのにどのくらい時間がかかるか把握しておくべきです。
【本試験まで時間がない場合のお勧め書籍】
※この書籍は必要なものに絞り込まれております。直前期から対策をするにはお勧めです。ただし、合否に影響が出ないレベルの奇を衒った論点への対応は難しいです。
【本試験まである程度時間を確保できる場合のお勧め書籍】
※かなり細かい書籍でほぼ出題範囲を網羅できているかと思います。厄介なのは分量が多いため、時間がある場合に限りお勧めです。
(4)記述式過去問を解く
一昔前の世代では、過去問を解くより、答練や模試を解けと言われていたのではないでしょうか。それは記述式の過去問を見ても同じ論点が出題されることがあまりなかったから、言われておりました。
しかし、昨今は過去の論点をリバイバルして出題されることもあります。また、それだけではなく、過去問を古いものから新しいものにかけて解いていくと、過去の流れからでは予想できない出題形式の変更があります。そうしたとき、どうすれば最低限の答案を書けたのか考える意味でも記述式過去問を解くことをお勧めします。
独学は可能か?
効率性を考えれば、独学は、あまりお勧めしないですが、可能です。
例えば、資格学校の答練に参加すれば、解き方の手順を教えてくれますし、網羅的に出題可能性の高い論点を抑えることができますので、答練くらいは受講しても良いと思います。
しかし、司法書士試験の記述式書籍は丁寧に書かれていることもあり、不可能ではありません。
また、たとえ答練を受けたとしても自分で演習しなければ身に着けられませんし、自分で演習して創意工夫して勉強していけば、十分に戦えるようになると思います。
最後に
司法書士試験の記述式問題は、択一式問題ばかり解いていても力がつきません。覚えることであったり、自分で準備できることはすべて取り組んで後悔のないよう応援しております。
コメント