普段は上場会社の法務の仕事のみなので、あまり気にも留めませんが、まれにグループ子会社の決算公告について対応することがあります。その際の忘備録としてまとめてみました。
宜しければご参考ください。
決算公告について
会社法440条1項には、株式会社が計算書類を公告しなければならないと記載しています。これは、いわゆる「決算公告」というものです。
株式会社では、所有と経営の分離により株主が会社の財務状況を知ることが難しく、また、株主や会社債権者にとって会社財産が唯一の引き当てになることから、計算書類を把握することが適正な行動をとり、リスクの回避を図るうえで重要な意味をもつため、決算公告は重要です。
公告を怠ったとき等の罰則(ペナルティ)
公告を怠ったときや不正の公告をしたときは、100万円以下の過料に処する(会社法976条2号)と定められています。これで実際に処罰される例はあまり聞いたことはないですが、後々公告しなかったことによる手続きの不備を指摘され、不利益を被る可能性もございますので、お忘れないよう対応することをお勧めします。
決算公告が不要な場合と法定公告で決算の内容を記載する際の書き方
決算公告は、原則として株式会社であれば、必ず行わなければなりません。しかし、次の(1)~(3)の場合には、不要となります。また、決算公告としては、不要であっても、債権者保護手続き等の法定公告をする際、計算書類を記載する必要がありますが、計算書類を記載しない場合の書き方もご参考として記載したいと思います。
(1)インターネットで計算書類を開示している会社(会社法440条3項)
定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社では、貸借対照表と損益計算書)の内容を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、継続してインターネットで開示していれば公告は不要です。
法定公告で計算書類の内容を記載する際は、URLを記載すれば足ります。
(2)金融商品取引法24条1項の規定で有価証券報告書の提出義務のある会社(会社法440条4項)
いわゆる上場会社ですが、上場会社は有価証券を提出したらEDINETで公開されますし、自社WEBサイトのIR情報に計算書類を掲載するので、会社法440条3項にも該当するし、世間に周知されます。
法定公告で計算書類の内容を記載する際は、「金融商品取引法による有価証券報告書提出済」と記載します。
(3)特例有限会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律28条)
特例有限会社は整備法でそもそも公告義務はありません。
法定公告で計算書類の内容を記載する際は、「計算書類の公告義務はありません。」と記載しています。
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