兼業副業司法書士の実態と難しさ

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司法書士
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サラリーマンや何らかの本業をしている方が副業や兼業で司法書士をすることが可能なのか。

解説したいと思います。

副業・兼業司法書士は可能か。

結論としては、可能です。

というのも、厳密に副業や兼業を規定している法律がないので、制度上できなくはありません。

しかし、他の士業よりも、副業や兼業がしにくい業界であると思います。

副業・兼業するうえでのハードル

(1)ルール上のハードル

  • ① 司法書士法のハードル
  • ② サラリーマンであればご自身の勤め先の就業規則の副業禁止規定
① 司法書士法上のハードル

司法書士法上、確かに兼業は禁止されていませんが、主に3点の制約があります。20条の「事務所」、21条の「依頼に応ずる義務」、24条の「秘密保持の義務」です。

これらについて、登録審査を行う司法書士会で十分に説明できるように体制を整えておかないと、登録できない可能性があるので、ご注意ください。

〇 司法書士法20条の「事務所」

司法書士法20条には、「司法書士は、法務省令で定める基準に従い、事務所を設けなければならない。」となっており、事務所を設置しなければなりません。

事務所を設置するには、雇用先の会社と同じ事務所だと、職務の独立性が保たれず、何らかの配慮(例えば、司法書士業務に従事するスペースを分ける等)をしなければ認められない可能性があります。

一方で、自宅を事務所として登録する場合、日中に常時応対ができるようにしておく必要があります。また、自宅を事務所とすると、自宅の住所が公開されてしまうので、注意する必要があります。

〇 司法書士法21条の「依頼に応ずる義務」

司法書士法21条には、「司法書士は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない。」となっており、原則仕事の依頼に応じなければなりません。

この点、正当な事由がある場合は応じなくても大丈夫ですが、例えば、会社での勤務は正当な事由には該当しない可能性が高いと思われます。

ただし、正直なところ、大々的に仕事の依頼をしなければそもそも仕事がこないです。

〇 24条の「秘密保持の義務」

司法書士法24条には、「司法書士又は司法書士であつた者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。」となっており、職場にもご家族にも秘密にし、なおかつ秘密情報として管理できるようにしておかなければなりません。

② サラリーマンであればご自身の勤め先の就業規則の副業禁止規定

ご自身の勤め先が副業禁止なのか確認し、必要であれば、会社から許可を受けるようにしましょう。

場合によっては、何らかの処分が下されたり、会社との関係悪化につながったりするので、ご注意ください。

(2)実務のハードル

① 登録費用と会費

司法書士として働く中で、司法書士の登録費用と会費もばかになりません。

司法書士の登録費用はおよそ10万円程度、司法書士会費はすべて込みで年30万~40万円程度になります。

少なくとも毎年、この金額をペイできる量の仕事を獲得し、ご自身でこなせるか確認すべきです。

② 会務、無料相談への対応

司法書士に登録すると、所属する司法書士会の会務や司法書士会が主催する無料相談に定期的に参加しなければなりません。

勿論、これらのイベントは決して多くはありませんが、平日に開催することも多いので、都度、時間を調整していく必要があります。

兼業・副業司法書士がやりやすい仕事

兼業・副業司法書士は、本業との兼ね合いで、一般的には就業時間内に行う業務だと難しいと思います。たとえば不動産登記の決済はお金のやりとりをするのは、金融機関が営業している平日に行われる場合がほとんどなので向いていません。また、平日の営業時間でやりとりをする企業法務等も対応が難しいのではないかと思います。

一方で、例えば相続のように、平日仕事があるので、休日に対応してほしいというような要望の多い業務は寧ろ好都合なのではないかと思います。

また、事情を理解してくれる司法書士事務所からもらう依頼もやりやすいのではないかと思います。

その他、これはかなり珍しいですが、司法書士としての執筆業や司法書士系Youtuber等といったものもどちらかといえば副業向きかと思います。普通ならば評価されなかったとしても司法書士が記載したことを全面に出していけば取り扱っていただける場合もあります。

兼業・副業司法書士をやっていくうえでのコツ

兼業・副業司法書士をやっていくうえで最も重要なのは司法書士仲間を増やすことです。

兼業・副業司法書士は他の司法書士と同様にウェブサイトを強化したり、営業をかけると、仕事が集まりすぎてしまいます。ほどほどに仕事をこなすのであれば、ご依頼者から直接仕事を受けるよりもいったん別の司法書士が窓口となってもらった方が運営はしやすいのではないかと思います。

最後に

単に、司法書士として登録し、兼業や副業をしていくとなれば、手間やコストであまり向いていないのではないかと思います。

しかし、兼業・副業でも十分に対応可能な先立つ仕事がある等の下地が整っていたり、司法書士名を使った仕事がしたいのであれば、十分に対応可能であります。

本記事が参考になれば幸いです。

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