みなし解散後の特殊な手続き

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司法書士
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どうもこんにちは!

司法書士として、みなし解散後の特殊な清算手続きに携わったので、記録したいと思います。

なお、守秘義務の観点から日付、名前等は仮でつけ、詳細は非開示にしています。

事例

【登記から判明していること】

  • 〇×株式会社(非公開会社、取締役会設置会社)
  • 取締役 A、B、C 内Aが代表取締役
  • 令和2年12月16日みなし解散登記

【聴取した内容】

  • 令和3年4月1日に依頼者から聞き取り
  • 当会社は10年以上、休眠状態であるが、都合により会社を清算させたいとの依頼。
  • 代表取締役Aは令和元年12月1日に既に亡くなっている。
  • 取締役BとCは既に当会社の実務から離れており、清算手続きに積極的に参加をしていただくことが難しい状況である。
  • 清算人は依頼者のDとしたい。

清算人はどうなるのか。

みなし解散の場合、その後にいくら清算人を選任したとしても、まずは取締役が法定清算人になり、代表取締役は代表清算人になります。

(。´・ω・)「ん? 代表取締役Aはみなし解散前に既に亡くなっている、一方で、みなし解散で(代表)取締役から消されている…この場合、Aはどうすんだ?

この場合ですが、調べると、みなし解散で亡くなったとしても、みなし解散前の「(代表)取締役の死亡」の登記は入れることができるとのことでしたので、Aは法定清算人の登記は入れずに「(代表)取締役の死亡」を入れました。

また、清算人として動く気はないBとCについては、少なくとも現状は法定清算人になるので、一旦、法定清算人の最後の仕事として、株主総会を開催してもらい、BとCの辞任とDの法定清算人(代表清算人)の就任手続きをとり、登記いたしました。

※今回、BとCは連絡のつく状態でしたが、連絡がつけられなくなったら、どうすべきだったんでしょうか。何らかの方法で株主総会を開き、解任させるのかな…

官報公告はどうすべきか。

会社法には499条で次のとおり書かれていて、この中の第475条各号には「解散した場合」と記載されているし、みなし解散の場合は官報公告が不要となる規定も存在しないので、官報公告が必要のようです。

会社法第499条

清算株式会社は、第475条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。

いつもなら、ひな型どおり「令和●●年●●月●●●日開催の株主総会の決議により解散いたしました」と記載したいところではありましたが…

(。´・ω・)「今回はみなし解散だし官報に何と記載しようか?

この場合ですが、登記記録のみなし解散の記載を参考にして、「令和2年12月16日開催会社法第472条第1項の規定により解散いたしました」とさせていただきました。

その後は無事官報公告も無事掲載でき、その後の清算登記も終えることができました。

代表取締役Aの死亡や取締役の変更登記の登記懈怠責任はどうなるのか。

会社法976条には登記懈怠によって100万円以下の過料が代表者に処せられる旨が記載されています。

(。´・ω・)「この場合、登記懈怠をしたのはAですが、既に亡くなられているし、それでもとりあえずA宛て過料が処せられるのか、他のBCが責任をとるのか、それともDがとるのか?

この点については明確な回答が見つかりませんでしたので、場合によっては、過料が発生する可能性がある旨を伝えたという次第です。

個人的にはみなし解散されてそれでも放置している方が多い中でも今回はちゃんと清算手続きまで行ったのだから見逃しても良いのではないかという気持ちもありますが、どうなるのでしょう。

終わりに

今回、かなりのイレギュラー事案でしたが、法律に基づいてひとつひとつ丁寧にこなすことの大変さ…大切さが身に沁みました。

企業の総務法務のご担当者様は、まずは登記を放置しないようご注意ください。また、お困りであれば、すぐにお近くの司法書士さんに相談してください。

まぁ、司法書士試験にはでない実務的な話でした。

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